回路の概略

ホーム目次II-5 協調運動の回路>回路の概略

 
Copyright (C) Namekuji-man 2012

 

回路の概略

 

    協調運動の機能は、運動促進機能をサポートする機能で、運動促進機能と同様に新しい機能である。

 

    回路は、概ね往復する形の、一種の反射回路である。回路の中心的構造で、回路の折り返し点となるのはR Neocerebellumである。回路の始点はL大脳皮質(前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉)全体である。回路の終点はL大脳皮質運動野(#4)である。
≪図 協調運動の回路≫

 

    L前頭葉および、L頭頂・後頭・側頭葉の皮質からスタートした回路は、橋のL橋核へ到達する。この機能は新しい機能なので、終脳と脳幹が直接接続する構造である大脳脚を通る。前頭葉からの回路は傍視床白質前部(=内包前脚)を通ってL大脳脚前1/3へ、頭頂・後頭・側頭葉からの回路は、傍視床白質後部を通って、L大脳脚後1/3へ進む。
≪図 軸位断面での協調運動の回路≫
●大脳脚の断面
●傍視床白質後部はなぜ同定しづらいか

 

    L橋では、橋核で中継する。橋核は、L大脳皮質の面積に応じて信号を受け取るわけだから、大脳皮質の面積の広さ呼応して数がたくさんある。橋核は運動系の回路に属するから、橋の腹側にある。このため、橋は腹側に大きく膨らんでいる。
≪図 橋での協調運動の回路≫

 

    橋核で中継したあと、回路は法則に従い交叉し、R Neocerebellumへ到達する。このとき通るのが、R中小脳脚である。小脳脚には上・中・下があるが、たくさんの橋核からの信号を受け継ぐ、新しい構造である中小脳脚が最も太く、最も表層にある。

 

    R Neocerebellumに到達し、往路が終わる。L大脳皮質の全ての情報がR Neocerebellumに投射されるので、R Neocerebellumの皮質はL 大脳皮質の広さに呼応して広い。
≪図 L大脳半球の情報がR Neocerebellumにコピーされる≫

 

    R Neocerebellumでは、受け取ったL大脳半球全体に相当する情報から、これから行おうとする運動に対して協調性をもたせるためにどの程度手加減したらよいかを決定する作業が行われる。決定した結果を、L運動野(#4)へ伝えるまでが復路になる。

 

    復路はR Neocerebellumからスタートし、R Neocerebellumと同様に新しい構造であるR歯状核を経由して、R脳幹へ入る。このとき通るのがR上小脳脚である。上小脳脚は中小脳脚に比べ細い。R Neocerebellumで決定した結論だけを伝えるので、細くて十分なのである。

 

    脳幹(R)に入った回路は、法則に従い、再び脳幹の中で交叉し(上小脳脚を経てきたので中脳の上小脳脚交叉)、L脳幹(中脳)へいく。

 

    L脳幹(中脳)から、今度は、傍視床白質を通らず、L間脳(視床)へ行く。運動系の回路なので視床前半部の核へ行く。具体的には外側核群のうち前方にあるVop核へ到達する。

 

    L視床(Vop核)からL大脳皮質運動野(#4)へ到達する。これで復路が終わる。

 

ホーム目次II-5 協調運動の回路>回路の概略