●傍視床白質後部はなぜ同定しづらいか
大脳脚の前1/3につながる傍視床白質前部は、「内包前脚」としてよく知られている。しかし、大脳脚の後1/3につながる傍視床白質後部は、軸位断像で同定しづらく、おそらくそのために教科書やアトラスに名称がない。だからここに回路が通っていることが理解されにくく、「コラム●この2スライスの連続性」で示したように、視床が写っている断面と大脳脚が写っている断面との連続性がわかりづらい。軸位断像でこの白質が同定しづらい理由は、CTスライスの断面が、頭頂葉・後頭葉・側頭葉から傍視床白質後部に集まってくる回路(白質)と平行に近いこと、3方向から集まるので白質の方向が分散していること、によると思われる。これに対して傍視床白質前部、および傍視床白質中央部(内包後脚)は、前頭葉から回路が集中してきており、CTスライス断面とも直角に近いため白質断面として同定しやすい。≪図 傍視床白質後部はなぜ同定しづらいか≫