中枢神経は充実性の粘土状である

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    発生学的にも完成した脳でも、中枢神経は管状の構造である。しかし、回路が走行する位置を理解するためのモデルを考える上では、管状である必要はなく、脳室などの管状構造があるとむしろ中枢神経を構成する各部分の連続性がわかりにくい。中枢神経は、充実性の灰白質の粘土状と捉えるとよい。そして、回路が分かった時点で始点・中継点・終点の灰白質と、その間を結ぶ白質を区別すればよい。

 

    機能の分化が潜在的に多能性な一つの部分から始まったように、解剖の分化も、一つの部分(脳幹)から始まる。

 

    機能分化のスタートとなる潜在的多機能の構造は、脳幹にある脳幹網様体である。そして、脳幹網様体がある脳幹が、解剖分化のスタートになる。

 

    脳幹から尾側へ伸びる部分が脊髄となり、頭側へ伸びる部分は間脳になる。間脳はさらに頭側へ伸び、それは終脳になる。

 

    側面から見ると、機能が入力系と出力系に分化すると同時に、解剖に背側が入力系担当、腹側が出力系担当、という位置関係の原則ができる。この原則は、脊髄・脳幹・間脳・終脳を通じて一貫している。
≪図 各レベルの断面≫

●なぜ背側が入力か(前出)
●大脳半球の腹側と背側

 

    この時点では、頭側から、終脳・間脳・脳幹・脊髄の順に並ぶので、脊髄と終脳を回路が行き来するには、脳幹と間脳を経なければならない。
≪図 この時点では終脳と脊髄を結ぶ回路は必ず脳幹と間脳を通る≫

 

    このあと、2つの劇的な解剖的な変形が、機能の分化に対応して生じる。ひとつは終脳の発達、もうひとつは小脳の発達である。

 

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